第5章 キミの笑顔が見たいから
このまま、彼に主導権を握られてる訳には行かない。
俺のプライドが疼き、
俺の下半身に顔を持っていこうとした雅紀を、
寸前で止める。
「??」
えっ?という顔の彼に、
一緒にシャワーしよう、と、
俺は彼の着ているものを剥ぎ取り、
手を引いてバスルームに向かった。
内心。
今更、雅紀を突き放すつもりもないけど、
ちょっと落ち着きたかったんだ。
からの。
ベッドでふたり.....
なんか、気まずい...。
というか、準備万端感というか。
『さあ、ヤルか!』的なこの状況が、
却って、テレる...。
「あの..、なんか、飲む..?」
「えっ?ああ...うん...」
俺はキッチンから、ミネラルウォーターのペットボトルを1本持ってきた。
キャップを開け、
俺が喉を潤すのを、雅紀は黙って見ていた。
「...飲む?」
これが彼のスイッチを押した。
もちろん、
俺だって確信犯だ。
「...翔ちゃんが..飲ませて..」
「来いよ...」
ゆっくり近づいてくる彼をベッドに座らせ、
俺は、
口に含んだ水を、雅紀の口に流し込んだ。