第1章 プロローグ
「潤...もうこんなになってたの?」
ちょっと意地悪く聞いてやると、
赤い顔して俺を見て、
「こんなの..初めてで...おかしく..なりそう.」
そう言いながら、俺にしがみついてきた。
「大丈夫だよ...。」
俺は、潤の髪を優しく撫で、唇を落とした。
潤もまた、俺の頭に手を回し、それを受け入れた。
俺は、潤の先走りを指に絡め、
ゆっくり後ろに持っていった。
俺たちは、同じグループのメンバーで、
2つ年下の潤は俺のことを、
『翔くん、翔くん』と、
兄のように慕ってくれた。
俺もまた、そんな潤が可愛くて、
何かと面倒をみていた。
俺になついて後ろを着いて歩く潤を、
周りのみんなは、
『子犬みたいだ』
って、笑っていた。
その笑いは決して、
俺らを揶揄するものではなく、
温かいものを見るように、
愛おしいものを見守るような、
そんな目だった。
その子犬を、
俺は、
抱いた。
.....抱いたんだ。