第23章 これから行く道
帰りの新幹線。
俺の隣で寝落ち寸前の翔ちゃんに、
一言、物申したい!
「何で、黙ってたの?
田中くんと小林さんのこと!」
「え~?...言わなかったっけ~?」
「聞いてないし!
それって...わざとでしょ?」
「フフッ...どうかなぁ~♪」
....ドS!!
睨む俺に、笑いながら翔ちゃんは、
「ふたりで歌っちゃう?
マドンナに♪」
「歌わない!」
そっぽを向いても、
彼が嬉しそうに笑ってるのが分かる。
親友の田中くんと、
元カノの小林さんのこと、
ホントに嬉しいんだろうな~...
そんな翔ちゃんの思いを感じて、
俺も心がほんわかした。
「俺らも発表しちゃう?
『秋に一緒になります』みたいな?」
「翔ちゃん!!
冗談でそんなこと、言わないでよ...」
横向きながらそう言うと、
「僕、マジなんだけどなぁ~♪」
窓の外を見ながら、そう言う彼。
.......ほんとにもう(-_-#)
本気にするからね///
それには答えずに、ジャンパーを
肩まで引き寄せると、
翔ちゃんも同じようにして、
待ってましたとばかりに、
下で手を繋いできた。
翔ちゃん....
俺たちのこの先に、
未来は、
あるの...?
当たり前の顔して話す、
田中くんたちのように、
俺たちふたりにも、
明るい明日は、
来るの?
そう聞いてみたかったけど、
もう翔ちゃんは、
眠りの中...
大好きだ、
大好きだから、
不安で、なんだか、
泣きそうになった。
目を閉じたまま、
繋いでだ手に、ぎゅっと、
力を入れてくれた君....。
......涙が、零れた...