第4章 最後の言葉
「翔ちゃん。
たぶんさ、
翔ちゃんが気になってるだろうと思ったから、
言っただけで、
別に、だから、何かが変わるってことは
ないと思ってるよ」
「......」
答えあぐねている俺に、ニノは、
「翔ちゃんが、
もう止めたいって言うなら仕方ないけど、
俺は、翔ちゃんとは、ずっと、こうしてたいよ。」
「..ニノ....」
不安な色を隠せない俺の瞳を見つめながら、
ニノは、そっと触れるだけの口づけをした。
俺は、この時、
ニノが、遠くに行ってしまったことを、
どこか他人事のように、感じていた。
ニノに甘えていた俺は、
そろそろ彼を解放してやらなきゃ、
俺の方から離れてやらなきゃ、
ニノからは言わないだろう。
ニノの告白を受けて、
流石、二宮さんだね♪
とでも茶化したらよかったのかもしれないけど、
どうしたらいいのか、
言葉を忘れたように、
俺は、ニノの顔を、
ただじっと見つめるしかなくて。
そんな俺のこと、彼は、
きっと分かってるんだろうな...
でもそれは、もう俺が答えを出さなきゃいけない、
きっと、そうだ。
何も言わず、ニノは、
膝で立って、俺をすっぽりと
抱き締めてくれた。