第15章 おいでよ、愛しい人…
これまでも、何度も二人で登り詰め、
一緒に朝を迎えてきた。
「智...」
髪を撫でながら、そっと名前を呼ぶと、
少しだけ、顔を動かしたけど、
まだ起きない。
天使のような顔でお休みだ(^^;
きっかけは、彼のどん底の夜からだった。
側にいたい...
支えてやりたい...
そんな気持ちで、智と暮らし始めた。
そんなこと、もう忘れてしまうくらいに、
一緒にいる。
...もうずっと昔から、
こうして、彼の寝顔を眺めていた気がする。
ずっと、見ていていいのかな?
...って思う。
側に居るのが、俺でいいのかなって...
なんで、急にこんなこと思うんだろう...
自分で自分が可笑しくて、
そんな疑問を打ち消すように、
彼の身体を抱き上げた。
お風呂に入って、
綺麗にしてから寝かしてあげなきゃ...
明日、酷いことになってもいけないしね...
「...翔..くん?」
「あっ...起きた?
無理させちゃったね...お風呂行くよ」
智は、俺の首に顔をうずめ、
首を振って、
「そんなこと、ないよ...」
と言った。
...可愛い。
愛しい...
どんな言葉でも、足りないよ。
抱き締めた肌の温もりに、
心がじんわりと溶けていくみたいだった。