第14章 青空の下、キミのとなり
「翔ちゃん!待ってよ。なんで~?
どうして先行くの~?」
一生懸命追い掛けてきて、
俺に並んで顔を覗き込んでくる智。
...悪いけど、今、話したくないから...
俺は、智には目もくれず、
更に歩くスピードを上げた。
「ちょっと~、翔ちゃんってば!」
懸命についてくる、何も分かってない智に、
俺はますます、腹が立った。
「着いてくんな!」
吐き捨てるように言って、
大股で逃げるようにその場を去ろうとする俺に、
ついに彼は、足を止め、
その場に立ち止まってしまった。
俺は、そんな智を置いて、
さっさとホテルに戻ってきた。
どこから見ても、
誰が見ても分かる、ベタな痴話喧嘩...
1人じゃ何にもできない智が、
頭の隅っこで気にはなったが、
だからといって、戻るなんてできないほど、
俺は冷静さを欠いていた。
......
コテージに戻った俺は、一人、風呂に入り、
一気に頭まで浸かった。
日中の抜けるような青空は、
もう、うっすらと暮れ始め、
風もどこか、ヒンヤリと、
夜の気配を連れてきている。
.........
智、一人で大丈夫かな~...?
......
俺はやっと、冷静になって、
置いてきてしまった智が、心配になってきた。
......