第14章 青空の下、キミのとなり
「智!急げば、間に合うよ!」
ゆっくりし過ぎたお陰で、もうすぐサンセット。
俺たちのコテージから、
海に沈む夕日が見えるはず。
「翔ちゃん、今日は、諦めるってのは?」
のんびり言う智に、
「明日晴れてくれる保障、ないでしょ?
こういうのは、タイミングなの!!
じゃあ、俺一人で行くから..!」
そういうと、
智は慌てて後について走り出した。
(...ハイ!思った通り~♪)
俺は、走りながら振り返り、手を出した。
智は、ニッコリ、嬉しそうにその手を掴んだ。
......智。
この手を離すなよ。
ずっと、ずっと、
握っててくれ....
そんなことを、思い、
思わず手に力を込めた。
何とか、間に合った。
いつの間にか、デッキのテーブルには
ランタンに火が灯っていて、
一層幻想的。
「智...ここに、おいでよ..」
俺たちは、並んで腰掛けた。
オレンジ色の太陽は、
海に近づくほどに、大きくなる。
水平線も、雲も、
少しずつ暮れていく。
俺は、黙って智の肩を引き寄せる。
1秒ごとに、雲の色が変わり、
太陽がゆっくりと沈んでいく様子が、
まるで、名画を見ているようだった。
「綺麗だね~...翔ちゃん...」
そう呟くように言う智の頭を、
俺は何度も撫でていた。
肩越しに伝わる彼の体温が、
これは夢じゃないんだと、
俺に教えてくれた。