第12章 君の全部を教えて...
相葉さんの実家の中華料理は久々で、
親父さんが腕を振るってくれ、
俺たちは、大満足だった。
一緒に店をやっている弟も挨拶に来てくれた。
顔は少し違うけど、
人懐っこい笑顔が、よく似ていた。
相葉くんの実家でお腹いっぱいいただいて、
俺たちは一路自宅に。
首都高は空いていて、
日を跨がずに、家に着いた。
「智~、先に風呂入れよ。
眠くなっちゃうだろ~?」
洗濯物をたたみながら、翔ちゃんが言う。
「うん....」
今日1日の俺を、洗い流してしまいたい、
そんな気持ちになって、
俺は、逃げるように風呂場に駆け込んだ。
湯船の中。
俺は、昼間の光景を思い出していた。
相葉くんや、松潤と楽しそうに笑う顔。
身体を折り曲げて、手をたたいて、
本当に楽しそうに笑う君。
...俺は、いつも、そんな姿に癒されてきた。
『翔ちゃん、君は、俺の、
いったいどこがいいんだよ...?』
「智~、タオルと着替え、
ここに置いとくよ♪」
「あっ、うん...分かった..」
慌てて風呂から出て、
翔ちゃんの持ってきてくれたバスタオルに
顔を埋めると、
いつもの柔軟剤の臭いがして、
不思議と落ち着いた。
『.....翔ちゃん...
俺は、君の役に立ってるのかな..?』