第12章 君の全部を教えて...
俺たちはその日、
新CMの撮影で、千葉県に来ていた。
いい天気で、空は抜けるような青空だった。
5人でのカットから、それぞれのもの。
何パターンか録るので、
CMの仕事は1日掛かりのことが多い。
翔さんと松潤の2人のカットの撮影の間、
俺はニノといた。
松潤と楽しそうにふざけている翔ちゃんを、
何となく見ていると、
「妬けますか?彼女としては…」
とニノが聞いてきた。
「へっ?…やあ、別に…」
「そうかな~…結構顔に出るタイプね、あなた。」
ニノは、俺の顔は見ずにそう言って、
テーブルの上のペットボトルを取ってくれた。
「はい、どうぞ」
「…ありがと…」
「で?翔さんとは、仲良くやってるみたいね」
ニノのその言葉に、
「まあね...」
俺は適当に答えた。
「大野さんさ、
変わったよね...最近…」
「俺が~?」
「そう。表情がね、
柔らかくなった…ていうか、
険が取れた、って言うか…
要するに、幸せそうだってことかな?」
「...ニノこそ、最近、どうなのよ?」
俺は、ニノの言葉には、
敢て答えず、そう話題を変えた。
「俺?俺は…まあ、変わりなしかな~?」
残念ながら、貴方みたいな漏れ出ちゃう幸せオーラ、出せないしね。
そう言って、ニノは笑った。