第5章 嫉妬
「土方さん!ちょ、待って!」
土方さんは私の声が聞こえなかったのか、気にせずスタスタ歩いていく。
部屋の前まで来てようやく追いついた。
「ほら、早く開けろ。」
「え、あ、はいっ!」
慌てて障子を開けると、土方さんは部屋に入り、テーブルの上に荷物を置いた。
「すみません、ありがとうございます。」
そう声をかけても土方さんは黙ったままだ。
「土方さん…?」
土方さんは背を向けたまま咥えていたタバコを携帯灰皿に入れた。
「こはる、お前今日その格好で行ったのか。」
「はい。あの…どうされたんですか?」
土方さんは相変わらず背を向けたまま黙っている。
「土方さん…?」
「…………のか。」
「え?」
「……山崎と、その…………付き合ってんのか。」