第1章 プロローグ
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「……ィ、オイッ!起きろ!」
「んっ……う……。」
頭の上で男の声がする。
まだ意識がはっきりしないまま体を起こすと、あちこちが痛い。
どうやらあのまま私は寝てしまったようだ。
いい年こいて最悪だ。
「おーいお嬢さん、他人の家の階段で寝ないでくれる?近所の人の視線が気になるだろうが。」
階段……?
記憶が正しければ、私は公園のベンチにいたはず。
何事かと眠たい目を擦り、眩しさを堪えてゆっくりと目を開けると、そこはまるで時代劇のセットのような建物と、遠くの方に高層ビルも見える。古めかしくもあり、新しくもある、なんともちぐはぐな街並みが広がっていた。
そして、目の前には死んだ魚のような目をした銀髪の男がいた。
「あの…どちら様ですか?」
「あ?俺ァ、ここで万事屋やってるモンだ。」
そう言って彼は私に名刺を差し出した。
そこには、【万事屋 坂田銀時】と書いてあった。