第4章 甘い約束
午後3時。
坂田さんと2人でパフェを楽しみ、週末には万事屋の皆さんとご飯という楽しみもできた。
「わりィね、ご馳走になっちゃって。」
「いえ!助けていただいたお礼です。それにしても坂田さんが甘いものお好きだとは意外でした。」
坂田さんは血糖値が高めで、お医者さんからパフェは週一までと言われているらしい。
「俺ァ定期的に糖分摂取しねぇとどーもイライラしちまっていけねぇや。」
そう言って坂田さんは気だるそうに頭を搔いた。
「ってか、その荷物なに?なんか重そうだな。」
坂田さんは私の抱えている包みを指差した。
「これ、今日買った本とノートです。栄養学とお菓子作りの専門書を2冊。けっこう大きくて。」
「え、こはるちゃんお菓子も作れんの?」
坂田さんの目の色が変わる。
「そんな、趣味程度のものですよ!」
坂田さんは私の腕から包みをひょいと取り上げ自分の小脇に抱えた。
「え、ちょ、坂田さん!いいですいいです!重いですよ!」
「はぁ〜銀さんケーキが食いてぇな〜。誰か作ってくんねぇかな〜。」
そう言って坂田さんは私をチラッと見る。
「……じゃあ、今度食べてもらえますか?」
「しょうがねぇな。そこまで言うなら食べてやるか。ほら、けーるぞ。送ってく。」
「ふふっ。ありがとうございます。」
坂田さんは、私が重いと言っていた荷物を軽々と持って、半歩先を歩いている。
どんなケーキにしようか。
道具も揃えなきゃ。
ケーキを作るのも久しぶりだし、人に食べてもらうのも何年ぶりだろう。
私は、幸せな気分で坂田さんの背中を追いかけた。