第2章 短編集2
「先生シャツかりますね~」
「ダメに決まっておろう」
部屋に入ってすぐにこの会話だった。寮に寝間着置いてきたから貸して欲しいとなんども言った。そして日本の伝統土下座をしたら、仕事の邪魔をしたら燃やすからなと言って貸してくれた。先生えっち。顔に出てたのかしばかれた、痛い。
「彼シャツってやつだね、うん。」
仕事に戻ったスネイプに早速声をかけたら案の定睨まれ、「邪魔をするなと言ったはずだが」と言われる前に「おやすみって言いに来ただけです」と言って笑った。「ああ」と、短い挨拶しかしなかったので「そう言う時はおやすみって返すんですよ」って言ったらこれ以上邪魔をするなと言わんばかりの表情で、「・・・おやすみ」と言ってくれた。
夢うつつとなっていた時扉が開いた。溜息が聞こえて扉が閉まった。ああ、やっぱり先生のベッドで寝るのはマズかったかな?と移動しようかと思ったけど眠気が勝ってしまう。
朝、起きて着替え、仕事部屋に行くと先生は机に突っ伏して寝ていた。
仕事し過ぎですよ、先生・・・
毛布を肩に掛けて「ありがとうございました。シャツは後日返しにきます。」とメモを残した。羽ペンの音で起こしてしまったかな、と思ったけど先生は寝てた。よかった。私はパタンと扉を閉めて出て行った。
先生のシャツといつも持ってるスケッチブックを持って、来週のクィディッチの試合だけどさ~とかどうでもいい話が飛び交う廊下を早足で歩いて、一人になれる場所を探していた。途中でグリフィンドールのヤツに夜はどうしてたのか聞かれたが別にと言ってもっと早足で歩いた。無関心、無関心。
最近寒くなってきたせいで益々人が居ない湖の畔に来た
「ここで絵描こう」
湖の畔に来たといっても湖を描くわけではないけどね。
書き始めたけど集中出来ない。スランプ来たかな、とか思ったけどそうじゃなかった。先生のシャツが目にチラチラ入るのだ。
「うーん、なんでかな」
人は居ないはずなのに集中出来ないのは初めてではないだろうか。僅かに鼓動も早い気がする。
「あー・・・厄介な事になったかな・・・」
自分の調子を崩す物は排除しようと考え、再び地下に行った。