第5章 寄り道せずに帰りましょう。
「お待たせ致しました」
少しトド松さんと喋っていると、先ほどの美人な店員さんが2人分のコーヒーとケーキを机に置いていく。
「トド松くんはいつものだろう?」
「流石だね!ありがと!」
どういたしまして、と笑いながら店員さんはカウンターへと戻っていった。
「トド松さんはよくここへ来るんですか?」
「たまにね。ここのケーキが食べたくなるんだー」
美味しいからオススメだよー、といいながら写真をとっている。
私の前には苺のタルト、トド松さんの前にはモンブランが置かれている。
いただきます、と小さく呟いてからケーキを1口食べる。
「美味しい……!」
「でしょ!ここのケーキさっきの店員さんの手作りなんだよ!」
苺の甘酸っぱさがタルトの生地にあっていて凄く美味しい。少し甘めに作られているのがコーヒーによく合う。
「…僕のも食べてみる?」
「いいんですか!」
タルトも美味しかったし、モンブランも食べてみたい。
「っ!はい、あーん」
出されたフォークにぱくりとかじりつく。栗の匂いや甘さがしっかりとあってやっぱり美味しい。
「美味しいです!」
「そ、そう。良かったね」
トド松さんの顔が少し赤いけど、どうしたんだろうか。少し首をかしげる。
その後、トド松さん何事も無かったかのようにケーキを食べていた。少し耳は赤かったが。
ケーキを食べ終わり、少しトド松さんと外を歩いていた。
「ケーキ美味しかったですね」
「でしょー!他にも美味しいとこ知ってるよ!今度一緒に行かない?」
「え、でも」
「だめかな?」
かがんで上目遣いでこちらを見てくる。くっそ!あざといな!!
「ま、また今度行きましょう」
「やった!絶対だよ雪実ちゃん!!」
またね、と手を振りトド松さんは走っていった。