第6章 歩きだす
*渉side*
ライブが始まって、ファンサービスをしながらもなんとなく二階堂の言っていた子の姿を探す。
とは言ってもこの何万人もいる中からはどこにいるのか全くわからない。
太輔とすれ違う時、太輔がすれ違いざまにつぶやいた。
言われた場所にさりげなく目線をうつすと、そこにはえみがいた。
そっくりさんというか、遠目で見てもあれは間違いなくえみだと思った。
ちゃっかりグッズを買って俺のうちわまで持ってる。
一瞬目があったような気がして、ピースしてみる。
えみとえみの周りにいる人たちが喜んだ。
藤「ね、やっぱ本物じゃない?」
渉「だよなぁ。えっ、でもなんで」
藤「つーかさー、彼女なんだからもっといい席取ってやれよwめっちゃ遠いじゃんw」
渉「いや、そもそも来るなんて聞いてなかったし!」
渉「どーしよ。緊張してきたw」
藤「えみちゃんにかっこ悪いとこ見せんなよー」
渉「ああぁ~やべぇ」
衣装チェンジのときに太輔とこんな会話をしたが、ステージに戻るとやっぱりムダに緊張してしまう。
ーなんでいるんだろう////しかも普通うちわ買う?!一緒に住んでるのにさ/////ー
いつも以上に噛みながらステージが進み、アンコールも無事に終わった。
急いでスマホを手に取りえみに電話をかけてみると、えみはすぐ出た。
『もしもしー?』
渉「あ、今大丈夫?」
『うん、どうしたの?』
渉「えみ、今どこにいるの?」
『え・・・なぜ?』
渉「なんか騒がしいけど、外出てるの?」
『あー・・・ちょっとね』
渉「あれぇ?俺に隠し事?」
『そんなんじゃないよー!えっと、うーんとね』
渉「まだ近くにいる?いるなら○○ホテルのロビー集合ね!俺ら今日そこに泊まるから。こっちももうすぐ終わるから待ってて」
『えっ、あ、ちょっと待って!え、これって私どこにいるかばれてるの?』
渉「うん」
『えー!!!あ、でも私あんまり時間ないよ?このままとんぼ帰りするつもりだから・・・』
渉「大丈夫。いいからとにかく待ってて。お願い」
そう言ってほとんど一方的に電話を切る。
すぐ終わると言いつつ、ホテルに戻れたのは電話してから2時間が過ぎた頃になってしまった。