第4章 想い
*渉side*
冷静に考えればちゃんと男の顔を確認したほうがよかったのかもしれない。
でもそんな余裕なくて、先に身体が動いていた。
自動ドアが閉じる前に中に滑りこみ、えみちゃんの部屋の前に立つ。
大きく息を吸って、今度はえみちゃんの部屋のインターホンを鳴らすがやはりでない。
「開けて」そう呼びかけようとドアノブに手を掛けると、鍵は掛かっていなかったらしくドアが開いた。
渉「えみちゃん?入るよ?おじゃましまーす・・・」
渉「えみちゃーん?俺、渉だけど・・・」
恐る恐るリビングのほうに向かっていくと、部屋の隅っこにえみちゃんはいた。
俺がいることに気づいていないようで、壁に向かって体育座りしていた。
肩が小刻みに揺れ、鼻をすする音も聞こえた。
渉「えみちゃん」
そっと肩に手を乗せると、えみちゃんは身体をビックとさせ振り向いた。
振り向いた姿を見て言葉を失った。
服も髪の毛も乱れ、腕や足にはあざを作り、泣き声を我慢するかのように涙を流してた。
渉「えみちゃん」
『わ、たるくん・・・なんでここ・・・』
渉「ごめん、開いてたから勝手に上がった」
渉「あいつが・・・来たの?」
『ん・・・』
渉「ごめん!本当にごめん!」
『やだな・・・なんで渉くんが謝るの?』
渉「だってこんな・・・!」
ー守ってあげられなかった。こんなことになるなら無理やりにでも警察に連れて行くんだった。1人にするんじゃなかったー
渉「無理して笑わなくていいから」
渉「怖かったよね。つらかったよね。痛かったよね」
そう言ってえみちゃんを優しく抱きしめた。
抱きしめた瞬間やっぱりビクッとされたけど、それでも離さなかった。離したくなかった。
『あ、のね・・・ケリつけなきゃって、そう思って・・。でもやっぱり、怖くて』
渉「うん」
『ダメ、だね。・・・ダメだった。なんか、昔よりも・・・パワーアップ、してたな。あはは』
渉「笑うな」
『・・・』
渉「なんで無理して笑うの?」
『・・・』
渉「お願いだから、そんな悲しそうな顔で笑わないで」
『ご、ごめ・・・』
謝ろうとするえみちゃんの唇にそっと人差し指を近づけた。