第3章 記憶
電話に出るか迷ってるうちに、渉くんが通話ボタンを押して出てしまった。
渉くんは私が怖がっていることに気づいてるのかもしれない。
また心配させてしまう。いい加減話さなきゃ。ケリつけなきゃ。
渉「あ、切られちゃった」
渉「勝手に出てごめんね。でも、なんか見てられなくて・・・」
『ううん・・・なんて、言ってた?』
渉「電話出ろって」
『そか・・・』
渉「話せるようだったら、俺に話してほしい」
渉「今の電話も、きっと昨日会った人だよね?」
突然ぎゅっと抱きしめられた。
渉「そんな怖がらないで・・・大丈夫だから」
抱きしめられたまま優しく頭を撫でてくれる。
気づけば私は泣いていた。
抱きしめられていると渉くんの香りがして、その香りに気づいたら安心して、余計に涙が出てきた。
ぽつぽつと、泣きながらだったけど、全部を渉くんに聞いてもらった。
友達にも言えなかったこと。
ずっと1人でこの悪夢と戦っていた。
私が話しているとき渉くんは、ずっと相槌を打ちながら私を抱きしめてくれていた。
そして話し終わって泣き疲れた私は、図々しくも渉くんの腕の中で寝てしまった。