第3章 記憶
『おじゃましまぁーす・・・』
渉「はい、どーぞー」
『うわあ、さすが・・・!片付いてる・・・』
渉「まぁまぁ、座りな?コーヒーと紅茶どっちにする?」
『あ、じゃぁ紅茶お願いします・・・』
男の人の1人暮らしなのに綺麗に整理整頓されていて、なんだか逆にどこを見ていいのかわからずきょろきょろしてしまう。
部屋に上がった瞬間からなんだか渉くんのいい香りがして、くすぐったい。
さっきまで不安定だった自分が、落ち着いてくるのがわかる。
渉「こら、あんまりきょろきょろ見ない」
『あ、見てるのバレちゃった?w』
渉「はい、紅茶。飲んで」
そう言って、あたたかい紅茶を出してもらった。
ふーふーしながら飲むと、胸の中のもやもやが少しずつ溶かされていくような気分になった。
『おいしい』
渉「よかった。・・・どう?少しは俺のこと頼ってくれる気にもなった?」
『え?』
渉「この前えみちゃんの家に来て何回もインターホン押してたの、さっきの奴でしょ?」
『・・・』
渉「あと電話も」
『・・・』
渉「話したくない?」
『ん・・・あんまりいい思い出じゃないから思い出したくなくて・・・』
渉「そっか・・・了解」
渉「よしっ!じゃぁ今日は横尾さん特製チャーハン作ってあげる!おなかいっぱい食べて元気になろう!」
『・・・はいっ!』
それから渉くんの作ってくれたチャーハンを2人で食べながらビールを飲んだ。
渉くんのチャーハンがおいしくて、渉くんの部屋が渉くんの香りでいっぱいで、渉くんの優しさが伝わってきて、気づかないうちに涙が流れていた。
渉「わ、わ、わ!なに!?どうした!?」
『えっ?あっ、やだ、ごめんっ』
渉「やっぱりまだしんどい?」
『ううん、違う。なんか、渉くん優しいなぁーって思っちゃって・・・そしたらなんか勝手に涙が・・・。あはは、おかしいな私////』
私がそう言うと、渉くんが私の頭をぽんぽんとやさしく撫でてくれたからますます恥ずかしくなった。
恥ずかしくなったけど、やっぱり心地いい。