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短編集〜猫達の茶番劇〜

第2章 過去話 アヤカ


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ここは何処だろう……?
果てしなく続く水面、その上に浮いているように突き出た島の上に、自分はいた。
「あれ…………?」
いつからここにいたのか、また、どうやって来たのか、全く思い出せない。
空を見ても、空色とも、橙色とも、何色とも言えない色が、ただ広がっているだけだ。
そもそもあれは空なのだろうか。
よく見ると、頭上に幾重にも水面があるのが分かる。
自分が乗っている小さな島の上を覗き込んで見ても、同じように下に下に何層も水面がある。
こんな事が、現実にあるのだろうか。
異常な世界に、しかし少女の心は不思議と穏やかだった。
すると、目の前に扉が現れた。
それは始め、空気のようだったが、段々とはっきりとその存在を明らかにした。
クリスタルでできたような、美しく、優しく輝く扉だった。
少女は、開けてみたい、という衝動に駆られ、手を伸ばした。
『それを開けてはいけません。』
突然、少女の頭の中に、声が響いた。
戸惑う少女に御構い無しに、声は続けた。
『貴方は今すぐそこから出ていかなくちゃいけない。』
「どうして?私、どうやってここに来たのか分からないのに、どこに、どうやってもどるの!?」
見えざる相手に、少女は頭を押さえながら叫ぶ。
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