第1章 惚れ薬
ホタルの表情に、ヨルは背筋が凍った。
今までになく、冷たく、無表情だ。
「言いたい事は、それだけか。」
「っ………………………。」
ヨルはうなだれる。
あれだけの事をホタルに言ってしまったのだ。
ただでは済まないだろう、と思い、構える。
だが、ホタルは何もしてこない。
じっと、ヨルを見据えるだけだ。
ヨルがそっと顔を上げると、ホタルは、相変わらずの表情だった。
しかし、どことなく悲しみを感じた。
ホタルが、重い口を開く。
「所詮、私達は闇の一族…………。光の者とは、相入れない。」
そう言い残し、ホタルは帰る道と反対側に進んでいく。
ヨルは、追うことが出来なかった。
ホタルが帰ってきたのは、数日後だった。