第6章 紹介
【チョロ松side】
「公園で待ってろって言われたけどさ〜。ぶっちゃけ遅くない?」
「「「確かに」」」
不満を漏らすトド松に同意する、俺とカラ松兄さんと十四松。
俺たち4人は、おそ松兄さんの指示で近所の公園に集まっていた。
なんでも彼女を正式に紹介したいんだとか。いや今さらすぎでしょ、入学式からどんだけ経ってると思ってんのさ。
まぁ高校生になったばかりでバタバタしてたのもあるし、俺たちも常に一緒にいるわけじゃないからな。誰も放課後に予定がない日ってあまりなかったんだよね。
じゃあ日曜にうちに来てもらえばいいじゃんって提案したら即断りやがったし。「デートしたいからだめ」とか意味わっかんね。ついででいくらでも会わせられるだろうが。
公園で待ち合わせにしたのは兄さんなりの配慮だろうし、理解はできるけど…別に紹介なんていいんだけどな。さすがにもう疑ってないし。一松も「友達になった」とか言ってたもんな。
あー、なんでもいいけどおせぇ。遅すぎる。あの高校からここまでけっこう距離あるのに歩いてくるつもりか?チャリに乗っても家から30分かかるらしいのに、もう少し近場でどうにかならなかったのか。
「それにしても、おそ松兄さんの彼女ってどんな子だろうねー?」
十四松が首を傾げる。まぁな、それは俺も気にはなる。写真でも撮って見せてくれるだけで十分なんだけど、あのバカは忘れてるのかなんなのか未だにそんなもの持ち合わせていないからな。
「おそ松兄さんはかなり理想が高いだろう?きっと美少女なんじゃないか?」
「ああ、ありえるかも。どんな手を使ってオとしたのかはさておき、絶対可愛い子に決まってる」
「いやいや、みんなよく考えてよ。あのおそ松兄さんが、入学式当日に美少女と恋に落ちるなんて絵面、想像できる?できないでしょ?天変地異レベルだよ?僕はわりと普通の子だと思うなぁ。なんていうか、夢見がちで、ちょこーっと甘い台詞囁かれただけでコロッといっちゃうタイプっての?いるんだよねー、そういう女子」
「逆にそこまで女子に詳しいお前に苛つくわ」
澄んだ瞳で力説する末弟に腹が立ったので、鋭いツッコミを浴びせる。
「あ、来たんじゃないか」