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【おそ松さん】哀色ハルジオン

第5章 交錯





まるで早口言葉のようにぶつぶつと高速で喋り、必死で否定する一松くんがおかしくて、私は思わず吹き出した。


「ふふっ、あはは!」


「……なに笑ってるんだよ」


じとーっと座り目で睨まれる。さっきまでは怖かったけど、顔が真っ赤なままなせいかむしろ可愛く見えた。


「ご、ごめんなさい!一松くんって面白い人だなぁと思って」


「…失礼だな、それ」


「ごめんってばー」


手を合わせて謝罪するも、一松くんは完全に拗ねてしまったらしく、不満げな表情で弁当箱を片付け始める。


そして綺麗に包んでまとめると、それをずいっと私に押し付けてきた。


「わゎっ」


「……僕も思ったことははっきり言うタイプだから、あんたの弁当を冗談なしで評価するとしたら」


「は、はい」


「……食べれなくはない。でもおいしくはなかった。…玉子焼き以外」


「!」


「料理の基本はできてるんだから、その妙な砂糖癖さえやめればだいぶマシになるんじゃないの。まぁ作ってくれたことに関しては、礼は言っておく。あ、ありがとう…」


「一松くん…」


彼は、とても回りくどい言い方をする。


突拍子もなく毒を吐いてくるし、滅多に表情を変えないし、おかげで最初はどうしても怖い人って思い込みがちだけど、


きっと本当は…おそ松くんに負けないくらい、優しい人なんだ。


もっと仲良くなりたいな。一松くんのこと、ちゃんと知りたい。


おそ松くんの弟だから、じゃなく、一松くん自身の人柄に、純粋に惹かれたから。


「ねぇ、一松くん。私と友達になってくれないかな?」


彼が目を丸くする。やがて私の真偽を問うように、まっすぐ見据えてきた。


「友達になりたいの。お願いします!」


怯まずに見つめ返す。しばらく互いの視線が交わったまま膠着状態になり…


先に折れたのは、一松くんの方だった。


「……はぁ。僕に必要以上に干渉してこないって条件付きなら、友達になってやってもいいよ」


それ友達って言うのかな?と疑問に思ったけど、つまりいいってことだよね!


「ありがとう!改めてこれからよろしくね、イッチー!」


「…え…イッチー…?」


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