第2章 哀しみの色
【カラ松side】
「あれ、カラ松兄さんどこか行くの?」
玄関で靴を履いていた俺に、居間から出てきたトド松が尋ねてくる。
「ああ。夕方までには戻る」
「…そっか」
俺のその一言で、どこに行くのかを察したらしい。小さく返事をした後、トド松は俯いてしまった。
「お前も来るか?トド松」
一応ダメ元で聞いてみる。しかしトド松は依然浮かない表情。
「…うーん…どうしようかな…」
やはり歯切れが悪いな。まぁ仕方がないか。
俺はトド松に背を向け、玄関の戸に手をかける。
「気分が乗らないならいいんだ。じゃあ行ってくる」
「…あ…」
トド松の返事を待たずに家を出る。無理に連れていくつもりはない。
あいつは繊細だからな…きっと未だに会うだけでも辛いんだろう。
それは俺も、他のみんなだって同じだ。
外に待たせていたタクシーに乗り込む。行き先を告げ車が走り出すと、俺は背もたれに寄りかかり、流れゆく景色を眺めた。
…何週間ぶりだろう。元気にしているだろうか。
彼女は…―
***