第15章 涙
延々と悩んでたあの時間はなんだったのか。こうもあっさり事が済んでしまうとは、拍子抜けにも程がある。
…いや…かえってよかったのかもしれない。
「ありがとう、十四松。俺が考え過ぎてたみたいだね。そっか、これだけでいいんだよな…」
「?僕、合ってた?」
「うん、合ってたよ」
説得させようとか、無理に読ませようとか、それこそ逆効果だ。
シンプルでいいんだ。距離を置きつつも、必要なことだけをしっかり伝えられれば。
「…お前が羨ましいよ、十四松。俺ももっと身軽になりたいなぁ」
「身軽?チョロ松兄さん太ったんすか!」
「うん、そういう意味じゃなくてね」
十四松の勘違いにやれやれと肩を竦めながら、二人で階段を下りていく。
あとは、手紙を読んでくれるかだけど…多分心配ないだろう。食事を受け取る時、嫌でも目に入るしな。
もし明日になっても廊下に置きっぱなしだったら、その時はお節介を焼くしかない。
明日…か。