第13章 本音
【おそ松side】
…しっかし、どうしたもんかねぇ。
自宅までの道のりを歩きながら、俺は頭を悩ます。
結局今回も鈴に何も聞けなかった。
単純に俺、あいつに無理させたくないんだと思う。
あいつが嫌がることや望まないことをさせたくない。
それってつまりは、俺があいつにバカみてぇに甘いってだけなんだよな。
もしかしたら、後もう一押しで聞き出せてたかもしれない。
分かっててもできない俺。情けないったらありゃしねぇ…
…なぁ、俺これからどうすればいい?
悩みを打ち明けてくれないなら、無理強いする他に、俺は彼氏としてお前に何をしてやれるんだよ。
……このままじゃ、俺……
***
『一松〜、具合わりぃの?』
『……別に』
『じゃなんで学校行かねーんだよ?』
『…さぁ…気まぐれじゃない』
『じゃないって、他人事みたいな言い方すんなよ。…よいしょっ、と』
『……なんで隣に座るの』
『うん?気まぐれ〜』
『うざ…』
『なぁ、一松』
『…何』
『鈴と、なんかあった?』
『……』
『あいつも最近元気ないんだよな〜。偶然か知らねぇけど、お前が不登校になった時期とあいつの様子がおかしくなった時期って重なってる気がすんだよ。や、別に疑ってるわけじゃねぇんだけどな?』
『……もし』
『うん?』
『もし…あいつと僕の間に何かがあったとして、おそ松兄さんはどうしたいの?』
『…うーん、難しい質問だなぁ、それ』
『は?難しくないだろ。僕が原因なら排除すればいいだけじゃん』
『排除って、物騒なこと言うなよ。俺は実の兄弟に手を上げるような真似はしねぇよ?』
『!…へぇ。それじゃあさ…
僕が鈴を好きになったとしても?』
***
ぼんやりと空を眺めながら、俺はこの間の一松とのやり取りを思い出す。
「…はぁ…」
あいつ今家で何やってんのかな…どうせ今日も夕飯食べないんだろうなぁ。いい加減父さんも母さんも心配するっつーの。
…本当、どうすりゃいいんだ、俺。
正解が分からない。いやそもそも正解なんてあるのか?
俺は…このままじゃ…