第11章 軋み始める関係
文化祭当日。
日曜日ということもあり、生徒の親御さんから、他校の生徒、お年寄りから子供まで、開催直後からたくさんの人が見物にやってきた。
どのクラスの出し物も大盛況らしく、どたばたのてんてこまい。
それは、アンティークカフェをウリとするうちのクラスも例外ではなかった。
「天川さん、6番テーブルにオーダー取りに行って!その後外で待ってるお客さん席に通してもらえる?こっち今手離せないの!」
「は、はいっ分かりました!」
校門でのビラ配りの効果もあってか、想像以上の賑わいを見せる店内。対応に追われまくりで、昼のピーク前からすでにクタクタなんですけど…!午後乗り切れる気がしない!
「お待たせいたしました!ご注文をお伺いいたします!」
「えーっと、ケーキセットと紅茶。アールグレイで」
「私はハーブティーでお願い」
「かしこまりました!少々お待ちくださいませ!」ダダダーッ
「…あの子、すごい元気ね」「若いっていいわぁ」
午後2時。地獄のランチタイムを根性でなんとか乗り切り、ようやく客足も落ち着いてきた。
「あ、鈴ー。ここにいた」
「?どうしたの遥香」
バックヤードでゴミ袋をまとめていると、店側から遥香が顔を出す。
「彼氏さん呼んでるよ〜?」
あ!そ、そうだ、あまりにも忙しくて忘れてたけど、今日はおそ松くんたちも来てたんだっけ。
「えっ!す、すぐ行く!」
「いってらっしゃーい。ついでに休憩入っちゃえば?鈴、朝からずっと働き詰めだったし。班長に伝えとくからさ」
「いいの?ありがとう!」
遥香の好意に感謝しつつ、私は急いで教室を出る。廊下の窓に寄りかかるように、おそ松くんが立っていた。
「おそ松くん!」
「!」
こちらに気付き、彼は目を丸くする。そして顎に手を当てながら私の全身をじろじろと観察し始めた。
どうしたんだろう、と不思議に思い自分の体を見下ろす……
って、私衣装着たまま出てきちゃった!!
「ちょ、ちょっと待っておそ松くん!きっ、着替えてくるから…!」