第10章 憂鬱
「トド松ーっ!遊ぼーっ!」
「あー…ごめん、十四松兄さん。僕暑くて動けそうにないから、そうだなぁ…カラ松兄さんにでも相手してもらってくれる?」
「合点承知!カラ松兄さーんっ!」バタバタバタ…
…ふぅ。元気だなぁ。
夏休みも残り3日。2学期に入るのやだなぁ、なんて考えながら、僕は部屋の壁にもたれかかる。
確か宿題終わってないのおそ松兄さんだけだっけ。ほとんど全部残ってたはずだし、これから3日間はひたすら地獄だろうなぁ。ま、自業自得だけど。
彼女と遊んでる暇があるなら、一緒に手伝ってもらえばいいのに。僕だったらそうするけどね、家に行く口実にもなるし。
そこに考えが至らないところがまさにバカというか…おそ松兄さんらしいよ。
うー、それにしても暑すぎ…いつになったらこの部屋エアコンつけるの?一夏を扇風機だけで乗り切るなんて無理があるんですけど…!
這いずるように扇風機の前に移動し、風量を¨強¨に設定する。…あー、ちょっとは涼しいかも…。
「あれ、トド松いたんだ」
「チョロ松兄さん…」
襖が開き、アイスバーを持ったチョロ松兄さんが中に入ってくる。
「え、それ僕も食べたい」
「ごめん、これ最後の一本だったんだよ。今度買ってくるから」
「ちぇー」
じゃあ一口あげようか?とか言わないもんなぁ、チョロ松兄さん。ねだってもいいけど、今回は潔く諦めよーっと。
「他のみんなは何してるの?」
「ああ…さっき十四松がカラ松兄さんとどっかに出掛けていったよ。おそ松兄さんは一松に監視されながら宿題猛スピードで片付けてる」
「ふぅん」
一松兄さんが監視係とか…うわぁ、そりゃ逃げられないね。
にしても、遊びに行ったり、宿題したり…何もしてないの、僕とチョロ松兄さんだけか。
……今なら。
「ねぇ、チョロ松兄さん」
「うん?」
アイスバーをくわえながら漫画を読んでいる兄さんが、顔を上げずに返事をする。
「わりとド直球に聞くから、吹き出さないでね?」
「…は?」