第2章 モーニン!
「茜のイッた顔めちゃ可愛い。昨日は暗くてよく見えなかったから」
私のなかから指を抜いて、音を立ててキスをしてくれた。
それからライトは身体を起こしベッドから下りる。
何だろうと思って眺めていると、なんの迷いもなくチェストを開けた。
「ちょ!!」
なにやってるんだ!と慌てる私をよそに、
「昨日茜がゴムここだって教えてくれたんじゃん」
コンドームの箱を出して振った。
「そう、なの?」
ちゃんと避妊してたんだ。
妙に安心して目頭が熱くなった。
「俺1個しか持ってなかったから」
まて、今の話だと最低2回はシてる。
そんなことさえ覚えてなくて、情けなくて恥ずかしくて涙が出てきた。
「ってなんで泣く?」
「覚えてなくて、ごめん」
溢れる涙を再びベッドに上がったライトの指が拭い、
「いーよ。今のこと覚えてくれてれば」
巻きつけていたタオルを外してコンドームを装着した。
「だから茜は素直に気持ちよくなってね」
私の上に覆い被さって脚を広げさせ腰を進めてきた。
「んっっ……」
「あったけぇ」
部屋の中は明るくて、私を抱いてるライトの顔もよく見える。
裏を返せば私の真っ赤な顔もしっかり見られているのだろうけど、もう逃げられる状況じゃあない。
「ラ、イトっ」
「どした?まだ泣ける?」
「うん」
「なんか、あったの?」
ライトに抱かれながらも、私の頭の中をものすごい早さで駆け抜けていく記憶。
失恋して、憂さ晴らしに友達と呑んで、勢いでライトとセックスして……。
「ごめ……」
「だから謝んなくていーってば。ほら、もう黙ろ?」
私の目元に滲んだ涙を唇で拭って、その唇で私の唇を塞いだ。
「んっ」
甘い唾液。
ライトの左手が私の頭を抱え込むように回されて、急に密着度が高くなった。
右腕は私の膝裏に掛けられていて、閉じることを阻止している。
あぁ、ダメだ。
唇を塞がれて、力強い腰の動きに段々脳が麻痺してきている。
「んっ、んぅ!!」
必死で首を振り、ライトの唇から逃れて、
「ダメっっ、ライトっ!私っっ……」
「いーよ。イッて?」
「っだって、私っっ。……ぁっ、なかで、イッたこと、な……ぃ」
感じたことのない快感から逃れようと必死で訴えた私に、ライトがぼそりと返した。