第9章 猫王子といじめ
そして案の定、いじめらしきものはセットされていた。それも今度はご丁寧に、椅子の先端に画鋲。注意をしていたため引っかかる事はなかったけど。
それからいつものように授業をこなし、昼休み、放課後へと時間は過ぎていく。繰り返されるようにいつも。
翌日も、その次の日も毎日のようにいじめが続いて、あたしのイライラはピークになっていた。
『あぁもう腹立つ…直接言って来いっての…あ』
奈央「何考えてんのやろ、腹立つ…あ」
ブツブツ呟きながらトイレに向かって歩いてると、ちょうど反対側から同じようにブツブツ言って歩いてくる奈央の姿があった。最近奈央はすぐどこかに行ってしまうため、久しぶりな感じがした。嫌われたのかな。
『奈央…』
奈央「何や、どないしたん?いつものらしく面白いこと言ってみぃや!」
『奈央…あたし、奈央の事大好きだよ』
奈央「な、何なん急に…何か変なモンでも食べたか?」
『あたしもたまには真面目になるんだよ、奈央さん』
奈央「…せやな。ウチも大好きやで、の事。最近のウチの態度みてそう思ったんやろ?堪忍な、気ィつかわせて。せやけどは悪ないねん。せやから信じてほしい、ウチの事」
『奈央…あたしは奈央の事ずっと信じてる』
廊下の真ん中で照れくさい事を言い合ったあたし達は、人目も気にせず笑い合った。奈央とあたしはこうじゃなくっちゃ。
『奈央、今度泊まりにおいで。その時は黄瀬君の話、ちゃんと聞かせてよね』
奈央「おう!当たり前や!その時は寝かせへんで!」
奈央と話した事でいじめのイライラなんて吹き飛んでしまった。やっぱり奈央はあたしの大事な親友だ。
奈央「もうすぐ授業始まるで!アンタ、数学の宿題終わったん?」
『…忘れてたぁぁあぁぁぁぁぁぁあ!!!!』
奈央「その台詞もう朝聞いたでー。あははっ!」