第9章 猫王子といじめ
赤司side
『赤司、あの王子モードやめたの?』
「王子モード?何だそれは」
『あの歯が浮くような台詞をさらっと言う王子の事』
「…あぁ、あれは忘れてくれ」
変な王子ーと笑う。川崎から聞いた話では、は前の僕の方が好きだと言った。確かに今までの僕は意識してもらおうと焦っていたのかもしれない。
今のままでは何も変わらないと思うが、それでもに嫌われるよりマシだと思ってしまった僕は、もう末期だと思う。
『っつ!』
「?どうしt!!!!!」
聞き終わる前に見てしまった。の指から流れる血を。ただ紙で切っただけなのかもしれないのに、僕の脳が危険信号を点灯させている。
『痛ぇぇぇぇ!!!紙で切ったぁぁぁぁ!だがしかーし!!!ちゃんは女子力高いから絆創膏を持ち歩いてるのさ!!!えーっとどこだったかな…』
は血を流したまま鞄をゴソゴソと漁っている。その時に見えた傷は紙で切ったモノにしては深かった。そして、真っ暗な机の中から、確かに光るモノを僕は見たのだった。
『うげっ!血が思ったより出てる!!!だがしかーし!!!ちゃんは女子力高いからティッシュも持ちあr』
男子生徒「分かったから煩いでー。何回女子力言うんや」
『自慢したいからに決まってるだろ!うわわ、垂れる垂れる!』
「はぁ。静かにしろ」
『はぁ!?ちょ、血着いちゃうから!』
「洗えば問題ない。ほら、鞄も貸せ。僕が探した方が速い」
『…サンキュ』
多分、みたいな女がこういう風に素直になる所に僕は弱いのだと思う。いつも気を張っているだから特に。
だから僕はが隠そうと思っていることなら、無理に問いただしたりすることはしない。