第8章 猫王子と夏休み
黄瀬side
青峰っちに負けた…頭では分かってもやっぱ悔しいものは悔しい。それに先輩達を勝たせる事が出来なかった。
『黄瀬涼太!!!』
「!?って君は…」
森山「何?またファンの子?俺に紹介しろ」
「違うッスよ!あの子はたまたま会っただけで」
『オイお前このあたしを無視するとはいい度胸だな。ちょっと面貸せや』
「脅迫じゃないッスか!はぁ…何なんすかもう…ちょっと行ってくるッス」
森山先輩の許可を得て、名前も知らない女の子の後を付いて行く。無言で歩くのも何だし、ここでちょっと彼女を観察してみる。
黒髪で短髪なヘアースタイルは活発さを表していると思う。私服も俺の周りにいるようなフワフワしたものでなく、ラフかつスポーティだがお洒落だと思う。バレー部って言ってたっけ、身長もそこそこある。だけどバレー部にしては少し小さいんじゃないか?
『オイそこの金髪。今失礼な事考えてなかったか?』
「えっ!?い、いや!何も無いッスよ!」
どうしてバレたのだろうか。もう考えるのはやめておこう。自販機の横にあるベンチに彼女が座ったため、俺も隣に座った。
「あ、あの…俺君に何かしちゃったッスかね?初めて会った時からこんな感じだし」
『…何かしたわけじゃないよ。強いて言うなら存在が腹立つ』
「存在!?もう俺どうしようも無いじゃ無いッスか!」
『あとさっきの試合も見せてもらったよ。それでもっと腹が立った』
「さっきの…桐皇との試合ッスか。確か君、赤司っちの友達ッスよね。何か言ってたッスか?赤司っち」
『赤司は関係ない。アンタ、自分の試合どう思った?』
「どう?負けて悔しいに決まっt…」
決まってる。俺はそう言いたかったのになぜか口をつぐんでしまった。彼女の目を見た瞬間に。それくらい真剣な眼をしていたから。
俺は自然と言葉を口にしていた。