第8章 猫王子と夏休み
青峰side
『…ね!…青峰!!』
「…?」
てっきりさつきあたりが来ると思っていたため、かなり驚いた。
「何でお前が来るんだよ」
『はぁ?あたしじゃ不服だって言いたいのかコラ』
「あぁ」
『即答腹立つ!!!このガングロ!!!』
「うるせーうるせー。で、何の用だ?俺もう帰るんだけど」
『…試合の感想をちょっとね。時間、作れよ』
「何で命令口調なんだよお前。ったく、少しだけだぞ」
早く帰りたいって言うのにあっさりと承諾してしまう俺は、お人よしなのかもしれない。
外に出ると近くにあったベンチに座る。ちゃっかりジュースを請求してきたは後で殴っておこう。
「で、話って何だよ」
『…まどろっこしいのは嫌いだからはっきり言うよ。なんでそんなにつまらなさそうにバスケするの?』
「…その話かよ。赤司に聞いたのか」
『王子がそんな事言うと思う?あたしの意見だよ』
「あっそ。…バスケなんざたかが遊びだろ?それに…俺に勝てるのは俺だけだ。結果勝ったからいいじゃねーか」
『遊び?本気で言ってるの?あーあ、期待して損した。あの赤司の元チームメイトって言うから楽しみにしてたのに。これ以上話す事ない。じゃあね、弱虫』
…弱虫だと?この俺の事を言ってるのか、このクソ女。
「…待てよ」
『待つか、ボケ』
「待てっつってんだろ!!!」
『…何?あたしも暇じゃないんだけど』
「俺だって…俺だってバスケを本気でやりてーよ。それこそ昔みたいに」
あぁ。俺は多分、今日会ったばかりのコイツに全てぶつけちまうんだろうな。赤司、恨むぜ。コイツをここに連れてきた事をよ。