第8章 猫王子と夏休み
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…何コレ。何なの、この試合…。元チームメイトでしょ?それなのにどうして
『ちっとも楽しそうじゃない…』
それどころか、見てるあたしが悲しくなってくる。気が付けば涙を流している自分がいた。
「の目にはどう映る?僕が見ている世界とが見てる世界、何が違う?」
『そんなの、分かるわけないじゃない…だけど、悲しいよ…』
青峰君と同じプレイをする黄瀬君。そして、味方を信じた黄瀬君を止めた青峰君。
自分を信じた青峰君。それでも自分が自分を信じて掴んだ勝利なら、もっと喜べばいいのにどうしてそんな表情をしているの?
仲間を信じて負けた黄瀬君。悔しさとは別に違う感情が見える。でもなんでそれを信じきれないの?
「…行ってくるといい」
『え?』
「その思いをアイツラにぶつけてやれ。アイツラにも、みたいなバカが必要なんだ」
『赤司…ったく、バカで悪かったな』
「その代わり」
『?』
「最後にはちゃんと、戻って来てくれよ」
『…フッ…女々しい事言わないでよね。戻るも何も、あたしの居場所はここ、でしょ?王子』
「…あぁ、そうだな。行って来い、ポチ」
きっと赤司はあたしに元チームメイトの事を助けてほしかったんだと思う。器用そうに見えて、ほんと不器用なんだから。
走ってホールを抜けると、青峰君を見つけた。