第8章 猫王子と夏休み
赤司side
僕の予想通り、はキセキの世代に出会ってしまった。嫌というわけではないが、やはり気に食わない。
『で、赤司さん。見せたかった試合ってコレ?』
「そうだよ。はどっちが勝つと思う?」
『分かるわけないでしょー。2人の実力知らないんだし。赤司は?』
「そうだね。中学時代、涼太は大輝に一度も勝てなかった。だけど互いに成長している。どっちが勝つかは僕にも分からないよ」
『ふーん?何だか楽しそうだね、赤司も』
「キセキの世代同士が戦うのはこれが初めてだからね。どんな試合になるのか楽しみだよ」
楽しみな事には変わりない。だけど僕が楽しみに思っている理由はもう1つ別にあった。それはこの試合を見てがどういう反応を見せるか。
『…ねぇ赤司』
「なんだい?」
『赤司と出会ってからまだ4か月と少しだけどさ。あたし、赤司とは結構仲良いって思ってるんだけど』
…いきなり何だ。僕にとっては嬉しいことだが、何かが引っかかる。それに今この場で言うタイミングも分からない。
「…それは嬉しいな。僕もそうだよ」
『そっか。なら…いつかあたしも、赤司に試されないような人間になれるのかな』
「!!!!」
『あと…そういうとこ、嫌いだよ』
どうして分かるのか。一番分かってほしくない相手にだけ。
「すまない…」
『けど赤司の好きな所はいっぱいある。赤司はそれでいいんだよ』
「…すまない」
どうしていとも簡単に僕の心を救うのか。の言葉は本当に不思議だ。心にスッと入ってくる。