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猫王子と犬平民

第8章 猫王子と夏休み


急いで奈央の元に行く。


『ちょ、奈央!?はやっ!!運動苦手なのにはやっ!』

奈央「アカン…どないしよう、…」

『は?』

奈央「黄瀬君のタオル、拾うてもうた…」


…黄瀬君?いや、誰だよ。ていうか奈央が尋常じゃないくらい汗かいてるんだけど!?尋常じゃないくらい顔赤いんだけど!?


『ちょ、ちょっと待って!黄瀬君って誰?』

奈央「…黄瀬涼太…」

『答えになってねえよ!!!黄瀬涼太って誰だよ!』

奈央「アンタ黄瀬君も知らへんの!?超有名な今売れっ子モデルの黄瀬君や!キセリョや!知らへんとは言わせへんで!?」

『知らないものは知らn』

奈央「あぁん!?」

『はははー、知ってますよもちろん!!いやだなぁ、奈央様!いや、奈央伯爵!!!ただちょーっと忘れてるだけっていうかぁ!どんな人でしたっけ?』

奈央「海常高校1年SF、黄瀬涼太や!キセキの世代の1人であり、中学2年からバスケを始めあっという間にあの帝光でレギュラーを掴んだ天才や!」

『ふーん。あれが?』

奈央「そや!あれが黄瀬君や!…!?」


その黄瀬君が再びこちらに戻って来た。キョロキョロしてるあたり、このタオルを探している様子だ。奈央を見ると…ダメだ、固まってる。

少し慌てて探しながら時計をチラチラ見ている黄瀬君。どうやら時間が無いようだ。奈央はこれだし…しょうがないか。


『おーい!黄瀬君やーい』

奈央「!?ちょ、!?」

「俺、ッスよね?サインか何かッスか?ごめんけど俺今急いでて…」

『は?サイン?いらねーよ。ほら、奈央』

「え?え?」

奈央「ああああああああの!!!!!サインください!!!!」

「『…は?』」


奈央は顔を真っ赤にして黄瀬君を見てる。違うだろ、そうじゃないだろ!


『な、奈央ちゃーん?そうじゃないでしょ?あたしかっこ悪い!いらないってキッパリ言っちゃったから気まずいんだけど!』

奈央「は黙っとき!ダメ、やろか…」

「うーん…って君洛山の人?それなら特別ッスよ?洛山のある人には昔お世話になったから。…はい。君もいる?」

『あ?人の話聞いとけよ、いらねーって言っただろ』

奈央「アホ!アンタ何て口聞いとんねん!堪忍な、黄瀬君」


奈央がこれでもかってくらい睨んでる。くそう、これも全て黄瀬君のせいだ。
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