第8章 猫王子と夏休み
青峰君は見た目こそ怖いが喋りやすかった。そのおかげか、すぐに打ち解けることが出来た。
奈央「…アンタら知能レベル一緒やなぁ」
「『どういう事(だよ)!!』」
奈央「はいはい。仲良いのは分かったから。せやけど青峰君。そろそろ行かなやばいんちゃうん?」
「あー…そうだな」
『何なに?どこに?』
奈央「試合や、試合。ウチらと話しとったから時間、かなりギリギリやで?」
「間に合えばいいんだよ。それより…お前、名前何だっけ」
『それはあたしの事かな?ん?一度名乗ったんだけど?』
「俺が1回で名前覚えれるわけねーだろ。で、何て言うんだ?」
『そうだった…キセキの世代は我が道を行く人が多かった…これが最後だぞっ!あたしの名前はなんだぞっ!』
「キモい。殴るぞ。死ね」
『言葉の三大暴力!!!!』
「ははっ!な。覚えといてやるよ。じゃあ、俺の試合でも見て俺を尊敬しろよ!」
何あの俺様。赤司よりはマシだけど。奈央は青峰と話せた事に凄く喜んでいた。
咽が乾いたからジュースを買いに行こうと思い、奈央と一緒にホールへ出る。すると隣の奈央から肩を思いっきり叩かれた。それはもう何度も何度も。
『いだっ!いだいだいだっ!ちょ、何!?理由も無しに叩いちゃダメだってお母さんから言われたでしょ!』
奈央「ききききききききっ!!ききききき!」
『木?奈央さんや、厚さで頭やられちまったのかい?こんな所に木なんて生えるわけないだろう?』
奈央「そうやない!!ききききききっ!」
『気?そんな、ドラ●ンボールじゃないんだから気なんて出せるわけないじゃないか…オラに力を~ってか?』
奈央「アホ!もう黙っとき!」
『何で!?奈央が壊れた…って、あれ?』
少し前を歩いていた人の肩からタオルが滑り落ちた。落とした人は気付く事無く歩いて行った。選手らしく、ジャージを着ていた。
その時、あたしの横を突風と共に何かが駆け抜けた。奈央に何だろうねと聞こうとしたけど、それは叶わなかった。その駆け抜けた者が、奈央だったから。