第8章 猫王子と夏休み
黒子君と別れ角を曲がると誰かにぶつかった。お互いに走っていたわけでもなく、少女漫画のようにあたしが転んで手を差し伸べてもらい恋に落ちるという方程式は成り立たなかった。…期待してたわけじゃないんだけど。
『あ、すんません』
「悪ぃ」
奈央「…青峰大輝!!!」
「…あぁ?」
目の前で怪訝そうに眉を寄せた少年は青峰大輝と言うらしい。奈央の知り合いだと思い自己紹介を始めた。
『どうも!奈央と自称1番の仲良しなです!!いやぁ、それにしても背高いねぇ!バスケやるならやっぱそれくrいだっ!』
奈央「アホ!アンタ何言うてるん!?ウチと青峰大輝が知り合いなわけないやろ!?」
『何で名前知ってるんだよ!知り合いじゃん!お前がアイツでアイツがお前的な?あれ?これどういう意味だっけ…』
奈央「意味分からへんのはアンタや!青峰大輝はあのキセキの世代のエース!バスケ界で知らへんモンはおらへんのや!!分かったか!?」
『奈央がややこしい言い方したのが原因なのに何この仕打ち…カルシウム足りてないn』
奈央「アンタのせいで摂っても足りへんのや!」
「ふっ…」
『あー!今笑った!ついにやったよ…やっと笑顔にしてあげる事が出来た…これであたしもう思い残す事は何もない…』
奈央「死ぬな!!これからもウチらの笑いで人々を笑顔にするんやろ!?死んだらあかん!って…またやってもうた…」
「ははははっ!!何だよお前ら!おもしれーなっ!」
さっきまで無愛想だった青峰君が笑い始めた。それにしてもうるさい。体が大きいと笑い声まで大きいのか。
「青峰大輝。桐皇学園1年だ」
『1年!?あ、キセキの世代って言ってたっけ…ブフッ!王子可愛そう!一緒なチームじゃ身長低いのバレバレ!』
「何1人で笑ってんだよ。王子って誰だよ」
『青峰君も知ってるよ!赤司のこと』
「ぶはっ!アイツが王子!!!やべー!腹いてぇ!」
奈央「が1人で呼んでるだけやけどな。あ、ウチは川崎奈央。洛山バスケ部マネージャーや」
『ちなみにあたしは関係ないバレー部でっす!』
「何でバレー部の奴がここにいるんだよ!あーやべぇ!今ちょっとの事でも笑えるわ」
王子に無理やり連れてこられた、王子の王子っぷりには困ると言えば、青峰君は再び笑い出した。