第8章 猫王子と夏休み
玲央さん達の試合は凄かった。他のチームも凄いけど、玲央さん達は素人のあたしでも分かるほど頭3つ分くらい飛び抜けて上手かった。そう言えば奈央が無冠の何とかって言ってたっけ。
天才に埋もれた逸材。きっと天才達の現実を見せられたはずなのに、今ではその天才と一緒に…いや、天才の下でバスケをしている。
『悔しくないわけ、ないよね…』
「何か言ったか?」
『…赤司がムカつくって言ったの。ていうかいいの?チームの皆と合流しなくて。寧ろ早く向こう行け!!!少し自由になりたいんだけど!!!』
「…しょうがないね。本当は放し飼いにするのは良くないんだが、せっかくだ。好きに見た方が面白いだろう。例の試合までには迎えに行く」
『迎えにって…この広い会場なら早々見つからないと思うけど?だけどそれはあたしには好都合!はっはっは!残念だったなぁ!』
「僕がを見つけられないとでも?」
『ひっ!!!やばいやばいやばい!!!悪寒やばい!!何この子超怖い!』
「僕が慰めてあげようか?」
『お前が原因だろうが!!!王子の頭の中はどうなってんだよ!解剖させろ!!!』
「ハハハっ…しかし1人では心配だ。川崎と一緒に行くといい。すぐに来させるよ」
あたしは子供かよ。まぁ奈央となら一緒に見てもいいんだけど。ていうか赤司じゃなければ誰でもいい!あの王子モード赤司には本当に恐怖しか抱けない。
奈央「…それでウチが呼ばれたと?」
『うん!もう本当に王子ヤバいんだって!キャラ崩壊してるし!!』
奈央「アンタ、あれ見て恐怖しか感じへんの?」
『そりゃそうでしょ!!!あんなの赤司じゃない!!ただの不審者だ!!…前の赤司の方が好きだったのにな…』
奈央「…ふーん?ま、このままいったら変な方向にしか行けへんみたいやし、ウチが助けちゃる!これが2人のためやしな!」
『何かよく分かんないけどありがとう!奈央大好き愛してる結婚しよう!!!の姓、受け取ってk』
奈央「いらへん」
『…清々しくてもう悲しくもねーや』
奈央と話しながらどの試合を見ようか決める。暫く歩くと、誰かとぶつかってしまった。
『わぷっ!す、すいません!』
「いえ、こちらこそすみません。…さん?」
『はい?って…黒子君!!!』
ぶつかったのは黒子くんだった。