第8章 猫王子と夏休み
会場に着くとバレーと同様の歓声が上がっていた。言わずもがなあたしのテンションはかなり高かった。それに何よりIHは初めてだった。
『うわぁぁぁぁ!すっげぇぇぇ!これがIH!!!!!いいなー!あたしも来年こそは出場してやるぜ!!!という事で皆さん!来年は我がバレー部の応援にも駆けつけてやってつかあさい!!!』
「全員荷物を置いたら各自行動するように」
『あれ?この歓声の大きさで聞こえなかったのかな?よし、もう一回頑張って伝えてみよう。うわぁぁぁぁ!!すっg』
「うるさいぞ、ポチ」
『何でコイツがあたしを呼んだのかよく分かった。こうやって憂さ晴らしするつもりだったんだ。夜道には気を付けろよ赤司!!!』
「ふふっ。楽しみね」
『!!!玲央さん…!!!あなたはあたしの味方でいてくれるんですね!!』
「いや、あなたじゃないわ。バスケの試合よ」
『もう帰りたい…』
それでもバスケ部、特にレギュラーの人達はとてもよくしてくれる。それにこの雰囲気、バレー部のものに少し似ていて、居心地は良かった。
そして午後。
玲央「それじゃあ行ってくるわ。ちゃん、私達の試合の感想後で聞くからちゃんと見ててね」
『ガッテンでい!!!!わたくし、!バレー大好き少女ですがスポーツは全部好きなんです!だから眼を見開いて先輩方の勇姿を脳に、体に、心に染み込ませてみせます!そのためn』
玲央「喋りすぎよ」
『ウィッス』
小太郎「じゃー赤司!行ってくるな!」
『はい?赤司も行くんじゃないの?主将なんでしょ?』
永吉「俺達だけでも余裕だからな、赤司が出るまでもねぇよ」
先輩方は行ってしまった。他の選手達もユニフォームを貰っている人はレギュラー陣と一緒に行き、それ以外の人は応援席の確保へと移動し、マネージャー達は仕事へと移った。つまり、この場に残ったのはあたしと赤司のみ。
その時赤司の手があたしの肩に置かれる。ギギギッと変な音が聞こえるかのように首を回すと、微笑んだ赤司がいた。
「やっと2人になれたね。それじゃあ、行こうか」
『…oh…夢だと、言ってくれ…』
バスの中で赤司に慰められ、妙に気まずいと思ってたばかりだったのに…と言うかこの赤司、王子モードオンじゃねえか…