第8章 猫王子と夏休み
今日からIH。赤司や奈央達バスケ部員はIHの開催地へ出掛けていた。
そんなある日の夜。猫王子からの着信が来た。
『もしもーし。優勝したの?』
―「…まだ始まったばかりだろう。それに僕が出なくても洛山は順調に勝ち進んでるよ」
『はいはい、自慢はいいから。で、どした?』
―「面白い試合が見れる。だからポチも見に来い」
『…はい?』
―「ここへ来るためのチケットは僕が個人負担で用意してやった。明日にでも郵便で送れられてくるだろう」
『ちょ、ちょっと待ってぇぇぇ!あたしにだって部活あるんだけど!?』
―「それなら心配ない。そちらの主将にはもう休む主旨は伝えてあるからな。当日は空港まで迎えに行ってやる。じゃあな」
『はっ!?ちょ、赤司!?ってマジで切りやがった!!!え、本当に行くの!?つーか主将何丸めこまれてるんだよぉぉぉぉ!!!!』
翌日、部活から帰ると本当に郵便受けにはチケットが入っていた。しかもなぜか宿泊準備をしてこい、とのメモ入り。何?あのバカ赤司宿泊させる気なの?ねぇこれって一泊だよね?誰か、あの我が儘王子をどうにかしてくれ…
そしてその日はやって来た。なんとまぁ出発は朝の5時。早すぎだろ!とツッコんでも誰もいないから、当たり前のようにシーンとなる自分の部屋。ジャスティスも友達に預けてしまったから本当に1人だ。それなのに何が悲しくて朝4時に起きて準備しなければならないのか。
『あんのクソ王子…帰ったら何か奢ってもらうぞ…あ、ハーゲン●ッツにしよう!!!』
アンタ、もっと高いのにしてもらいや。なんて奈央の幻聴が聞こえた。生霊とかじゃないよね?
「やぁ。ちゃんと起きれたようだね、ポチ」
『ふ!ざ!け!ん!な!!!何でこんなに朝早いんだよ!!』
「この時間でないと僕が自由に動けないからに決まっているだろう。ほら、タクシーを待たせている。行くぞ」
『…チケット買ったりタクシー待たせてたり…王子、もしかして本物の王子だったりする?』
「さぁ、どうだろうね」
うわ、コイツ否定しないって事はそれなりのお金持ちだ。腹立つから3個くらいハーゲンダッ●奢ってもらおう。
「3個でいいのかい?」
『…心を読むなぁぁぁ!!!!』
赤司、なんか楽しそうだなぁ。