第7章 猫王子と喧嘩
『…何それ』
「所詮この世は弱肉強食だ。勝者こそ全て。次は勝つ努力をすればいい。チームも変わるし心機一転しt」
『何だよそれ!!!』
に胸倉を掴まれ、そのまま後方の壁にぶつかる。背中に痛みが走った。もちろん教室は静まり、皆僕達を見ていた。は下を向いているため、顔は見えない。
『確かにあたしは弱い。もっと強ければ勝てたかもしれない、それは赤司の言う通りだよ。だけど…先輩が弱い?何も知らないくせに勝手な事言うな!赤司に何が分かる!!!』
「…」
『心機一転!?今まで一緒に頑張ってきた仲間なんだよ!それをたった四文字で片付けんな!!!勝った喜びも負けた悔しさも、皆との思い出も忘れろって言うのかよ!』
「…チームが立ち直るにはそれが一番だ」
『ふざけんな!!!確かに引きずるのはよくない。だけどそれを乗り越えていかなきゃ本当に強くはならない!!!忘れるじゃすまねぇんだよ!!!それに…勝者が全てって何だよ…敗者には何も残らないの?』
「敗者が得るモノは敗北のみだ」
の手が離れ、頬に痛みが走った。思いっきり拳で殴られたと分かったのは、体のバランスを崩した時だった。は、泣いていた。僕が泣かせたのはこれで2回目だ。
『敗者が得るモノはたくさんある!!!赤司は負けた時何も得られなかったって言うのか!?』
「僕は何事においても負けた事は今まで一度もない。もちろんこれからもね」
『…何だよそれ…ふざけんな!!!負けた事もないくせに負けた奴の何が分かるって言うんだ!!!』
「あぁ。何も分からないな。そもそも負ける意味が分からない」
『は…ははは…そっか、そうなんだ…』
「?」
『そうだね、赤司は天才だったんだよね…天才に凡人の気持ちは分からない、よね。話しても無駄だったね…』
はフラフラと足を動かして教室を去ろうとする。
「!!!」
『もういいよ…赤司とあたしじゃ世界が違う。あたしは天才にはなれないし、なりたいとも思わない』
「何を言っt」
『お前らみたいな天才に!!!…何の努力しなくても全部出来た天才に…あたし達凡人の気持ちなんて分からないよ。ううん、分かってほしくない。赤司とは上手くやっていけそうだったのに、残念だよ』