第5章 猫王子とテスト
赤司side
奈央「あーあ、行ってもうたわ。大丈夫なんかね、は」
奈央「あの子ホンマに数学やばいと思うで。ウチでも解ける問題分からへんって電話してきたんやから」
奈央「ウチも誰かさんみたいに教えれる余裕があれば教えてやるんやけどなぁ~」
川崎の言葉は確実に僕に向けられている。それにがやばいのは僕だって知っている。ずっと隣で頭を動かしている姿を見てきたから。
奈央「…なぁ、赤司君。赤司君が何思てるか、何考えてるかなんて分からへんよ。どうしてを無視するのかもな。それは赤司君の自由だし、との問題や。他人のウチが口出ししようなんて思てへん。せやけどな…」
川崎の言葉が止まる。ふと後ろを見ると、川崎の拳は硬く握られていた。
奈央「せやけど…はウチの大事な友達や。親友やと思うててん。その親友がこれ以上辛そうな顔してるのなんて。もう見たないねん。ただでさえ勉強の事に悩んでるのに、これ以上悩ませてほしないねん」
「…僕は…」
麗華「あ、赤司君!!!」
川崎の見た事がないくらい真剣な表情を見て、僕はこのモヤモヤした気持ちを相談しようと思った。だけどそれは月島に呼ばれた事で遮られた。
麗華「部活で使う資料の事なんやけど…今ええかな?」
「…悪いが後にしてくれ。川崎、少し話がある」
奈央「赤司君…おう、ええで!堪忍な麗華、先話させてもらうで」
麗華「だ、だめ!」
奈央「…は?」
麗華「あ…いや…その、今見てほしくて!今日中に監督に見せなきゃあかんねん!」
「…分かった。川崎、やっぱり明日話すよ。勉強、大変なんだろう?」
奈央「はっ!そうやった!ウチも勉強せな!!!ほなな!赤司君!それに…麗華」
麗華「うん!…ほな赤司君、行こか」
月島と一緒に部室までの廊下を歩く。明日、川崎に話してこのモヤモヤをはっきりさせよう。そしてに謝ろう。