第5章 猫王子とテスト
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今日はテスト初日。テストは余裕だけど、イライラは最高潮だった。原因は、この目の前に座っている赤髪の男。今はテスト期間だから席替え前の席順となっている。
奈央「アカン…ウチもう終わったわ…どやった?」
『…普通』
奈央「機嫌悪いなぁ。まだ仲直りしてへんの?」
『仲直り?あたしは悪くない!!!勝手に無視してるだけだし!話しかけても無視するし!意味分かんないんだけど!!!』
目の前に座っているにも関わらず、あたしは全力で言ってやった。絶対に聞こえている。昔は絶対にいつもの口調で何かしら言い返してくるんだけど、こちらを振り向きもしない。一体あたしが何したっていうんだバカヤロー!!!!
奈央「はぁ。アンタら何がしたいかもうウチには分からへんわ。それより数学、大丈夫なん?」
『…奈央数学教えて!!!!!先生に頼んでも忙しいだとかで5分しか教えてくれないんだよ~~~!!!!先生はあたしの事嫌いなんだ…留年させる気なんだ!!!』
奈央「気張りぃや。数学は幸い最終日やろ?あと2日注ぎ込めば何とかなる。ウチだって教えたいのは山々なんやけど、ウチも数学苦手やねん。堪忍な」
洛山は中間テストというものは無い。期末試験一発勝負だ。テストは無くて嬉しいけど、その分範囲が広い。そしてその結果がそのまま成績に入る。
『その心遣いだけでも涙が出るよ…あたしゃいい友達を持ったよ…薄情なのはそのバカ王子だよ…』
「………」
『は!ら!!た!!!つ!!!!…ダメだ、もうこうやって叫ぶ時間も惜しい…図書館で勉強して帰るよ…』
奈央「アンタ音楽ないと勉強出来ひんのんちゃうん?大丈夫なん?」
『大丈夫…Ipod持ってきてるから…アディオス…』
うわぁ、本当に泣きそう…何故か麗華ちゃんにも無視されることが多くなったし、バレー出来ないし、数学と戦わなきゃだし…それに何より
『何で無視してんだよ、バカ赤司…』
赤司はどうしてあたしを無視してるんだろう。あたしが何かしたんだろうか。何か怒らせるような事したんだろうか。…やば、思い当たる節めっちゃあるわ。寧ろ毎日怒らせてたような…
『って!悩んでても仕方ない!打倒数学が今1番の問題なり!いっくぞぉぉぉぉぉ!!!!』
あたしの座右の銘、それは"迷うくらいだったら進め!!!"