第5章 猫王子とテスト
『だってほら、あたし数学めっちゃダメじゃん?全然出来ないじゃん?まずいじゃん?だから先生に聞きに行くんだよ…』
「…がそんなに真面目だとは思わなかったよ」
『どうしてそう赤司は人の傷口に塩を塗るのが上手いのかね…もう少しでちゃんのヒットポイントがゼロになって死んじゃうよ…傷薬を塗ってくれよ…うぅ…』
「別に聞きに行って得する事はあっても損する事はないだろう?」
『それがあるのだよ、赤司君。だって…音楽聞けないじゃん!』
「…は?」
『あたし音楽がないと勉強なんて出来ないんだよぉぉぉぉ!分かるだろ!?勉強大嫌いなあたしが今まで続けてこられたのはさぁ、心のオアシスである音楽があったからこそなんだよぉぉぉぉ!どうしよう…』
は真剣に悩んでる。いつもと変わらないように見えるが、これは本当に悩んでいると思う。僕には何となく分かった。
「…僕が教えよう」
『…は?』
「…いや、何でもない」
『いいいいいい今何て言った!?』
「だから何でm」
『今何て言った!?』
「…だから、僕が教える。それなら音楽でも何でも聞けるだろう」
『まじでか!王子まじでか!お願いします!!!!王子がいれば百人力だよ!!!すっごい分かりやすいし!!!!がーっはっはっは!これであたしは勝ち組みだぁぁぁぁぁ!』
本来であれば僕から教えようとか言わない。だけど今のを見ると放ってはおけず、口が勝手に動いていた。だけど今の喜んでいるを見れば、これで良かったと思ってしまった僕は、本当にどうかしている。
「だが僕は厳しいぞ。それに献上品として湯豆腐を提供すること」
『うん!うん!球技大会の時の約束もあるし寧ろ豆腐なんて安いもんだし!それで王子の頭が買えるなら宝くじレベルだよ!!!!ガッポガポだぜぇぇぇぇ!あたしの部屋来る!?』
「…、お前はもう少し女としての自覚を持てと何回言ったら分かるんだ。部屋にそう簡単に男を誘うな」
『えー?だって赤司はそんな事しないでしょ?』
何を根拠に言ってるんだ、こいつは。そして信じられているのは嬉しいはずなのに、なぜか悔しくなった。多分、男だと思われていないからだ。