第4章 猫王子と球技大会
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『はいはい。あたしの負けでいいからちょっと静かにしておくれ。あたしは真剣にバレーを見たいんだよぉぉぉ!』
男子生徒「何やねん、つれへんなぁ。得点係なら喋ってても大丈夫やろ?」
『あのねぇ!あたしはバレーに命をかけてるの!!得点係も大事な仕事なんだよ!分かったら帰りやがれガキ!』
男子生徒「ガキっても同い年やろ?ほんまおもろいなぁ」
『だぁぁからぁぁぁぁ!』
「オイ」
男子生徒「あ?って赤司!?」
赤司が目の前にいる。試合はまだ終わってないのに。あれ?あたしスコア間違えた?いやいや、そんなわけがないし、実際間違えてない。赤司に怒られるような事はしてないけどなぁ。
『あかs』
「この駄犬は今仕事中だ。それに外でギャーギャー騒がれたら中の選手達は気が散って試合に集中出来ない。鑑賞するのは構わないが、マナーは守れ。それが出来なければスポーツを見る資格はにゃい…あ」
『…ブフーッ!あ、赤司今噛んだ!今噛んだよね!?ぎゃははっ!格好つかねぇぇぇ!にゃいってどんだけ猫のアイデンティティー重視してんだよ!しかも小っちゃく、あって言ったし!可愛いよ王子!!!いでっ!』
「煩いぞ、駄犬」
『もう無理だから!そんなオーラ出してももう手遅れだから!あはははっ!』
男子生徒「…何やねんお前!俺は今と喋ってたやろ!?ほら、お前のせいで試合止まってるんやで!?さっさと戻れや!」
『そうだね。王子は試合戻りなよ』
「…何だと?」
『そう睨まないで。ここはあたしがどうにかするからさ。そして君。赤司のいう事は最もだよ。選手の事を考えるのが役員の仕事だし、マナーを守れない人には腹が立つ』
男子生徒「何やねん、まで。たかが球技大会やろ!?」
『だけどスポーツはスポーツ。これ以上あたしを怒らせたくないなら今は帰って』
その生徒は1回舌打ちをして赤司を睨むと、すごすごと帰って行った。先輩や部員からはよくやったと褒められ、周りの人達からは拍手を貰った。だけど赤司はこちらを見ようとしなかった。
『王子ーーー!ありがとね!』
あたしが叫ぶと赤司はぎょっとしたようにこちらを見て、恥ずかしかったのか顔をほんのり赤く染めながら、スッと手を挙げた。何あれ可愛い。