第19章 猫王子と誕生日
赤司side
「何を怒ればいいんだ?」
『気にしなくていいよ、赤司。それより、行こっか』
今日のの私服も可愛い。可愛いというより、お洒落と言うのか。あの涼太がの私服はセンスがあると大絶賛していたくらいだから、相当な物だと思う。
僕はこういうお洒落には疎いから、涼太に聞いといてよかった。涼太は今の僕で十分だと言ったが、やはりにダサいと思われたくない。
涼太のおススメの靴を購入しておいて良かった。昼休みに電話で1時間服装の相談をしておいて良かった。
『何か今日の赤司、赤司じゃないみたい』
「え…どこがだい?」
『服装。いつもの赤司っぽくない』
「変、か?」
『変じゃないよ。よく似合ってるけど、何か違うなって思っただけ。気にしないで』
「そうか…涼太に感謝しなければな」
『何で黄瀬涼太?』
「昼休みにアドバイスをもらった」
『…ぶふっ!あははははっ!何それ可愛い!アドバイスって!しかも黄瀬涼太に!!!』
は暫く笑いが止まらなかった。笑うところじゃないだろうと思い、軽くの頭を叩く。だけどは笑いを止めない。
「…」
『あははっ、ごめんごめん!そんな怒んなって』
「…足は平気なのか?」
『んー?あぁ、平気平気!テーピングもしてるし、スニーカーだから大丈夫!ま、やばくなったら言うよ』
は寒そうにコートのポケットの中に手を入れた。耳あて、マフラーと、上は完璧な防寒なのに対し、手袋はしていなかった。どうしてかと聞けば、手袋をしていると買い物には不便と答えた。
だから、僕はの手をコートから引っこ抜き、僕のコートの中に招き入れた。
『っ…』
「こっちの方が暖かいだろう」
『…うん』
の手は、僕の手の中でキュッと硬く握られた。