第19章 猫王子と誕生日
待ち合わせ場所に行くと、なぜか奈央がいた。
奈央「お、可愛いやん!」
『あれ?奈央?どしたの?』
奈央「赤司君、急に監督に呼ばれてしもうてな、少しだけ遅れるんやって。せやからウチにその間話し相手になってやれって頼まれてな」
『そうなんだ。…ねぇ奈央』
奈央「んー?」
『…あたし、赤司の事好きなのかな』
奈央「…」
奈央は何も言わず、力強くあたしの名前を呼んだ。知らないうちに下を向いていたあたしは、奈央の声に顔を上げた。そこには、真剣な顔をした奈央の姿があった。
奈央「…ウチには何とも答えられへん。それに、もウチに聞くべきやない。それは自身で出す答えや」
『あたし、自身で…』
奈央「せや。の中ではっきり答えが出たら、赤司君に一番に伝えるんや。いくら時間がかかっても、赤司君なら待ってくれる。それはアンタが一番よく分かっとるやろ?」
赤司は、いつもいつも待ってくれている。多分、これからもずっと。あたしが答えを出すのを、いつまでも待ってくれる。
奈央「あ、赤司君の次はウチに教えてな?」
『…ちゃっかり者』
奈央「当たり前やん!ウチはの親友やねんもん!」
奈央の言葉に、ずっと考えていたために強張っていた顔が緩んだのが分かった。
奈央「そう、その顔や!アンタにはその笑ったバカみたいな顔が一番似合うてるよ!」
『それ褒めてんの?貶してんの?』
奈央「両方や」
『悔しい!誕生日までもこの扱い悔しい!!!』
あたしたちは顔を見合わせ、お互いに吹きだした。そして、奈央の肩越しに赤が見えた。奈央もそれに気付く。
奈央「考えるのもええけど、しっかり楽しんでな。帰ったらじっくり話聞かせてもらうで!」
『ありがとう、奈央。奈央と話せて良かったよ。奈央も黄瀬君ともうすぐ会えるからって、浮かれすぎないようにな!』
奈央「なっ!うちはWCには純粋に勝ち行くわけで…」
『はいはい』
奈央「ーーーーっ!!!」
「すまない、遅れた。相変わらずお前達は仲が良いな」
奈央「赤司君、怒っといてな!ほんならウチは戻るわ!、またメール待っとるで」
奈央は嬉しそうに走っていった。