第18章 猫王子と音楽
赤司side
「…いい歌だ。まるで、僕に向けられているような歌詞だな」
『昔は、ね。でも今は変わった。もう自分だけの"答"を押し付ける赤司はいない』
「…そうだといいがな」
『この歌詞を書いたこのグループのリーダーは、最後矛盾として残った結果をデタラメという言葉で認めようとしてるけど、赤司ならどうする?』
「…僕は、自分の納得いくまで探究し続けるよ。それが僕の"答"だ。はそれが分からないままだから、最初の"透明人間18号"を歌っていたんだろう?」
『…うん。あたしは白にも黒にも属せない、灰色の存在。逃げてるだけの弱い人間なんだ。けど、この歌を聞いてると、そんなあたしでもいいかなって思える。ほら、色さえもらえば虹色にも輝くし?』
「虹色、か。それならば、僕の赤色をにあげよう」
は目をぱちくりとさせると、吹きだしたように笑った。
『あははっ!そうだね、赤だもんね。それなら青峰からは青をもらって、桃ちゃんからは桃色。黄瀬涼太からは黄色、ムッ君からは紫で、黒子からは黒。っと…ありゃ、6色しかないや』
「心配ないよ。キセキの世代にはあと1人、緑がいるからね」
『いや、いてもあたし関わりねーし』
「大丈夫だ。には僕達と似た何かがある。そのうち仲良くなると思うよ」
『どんな人なの?』
「…おは朝信者のラッキーアイテム男」
『ごめん、全然仲良くなれる気がしないんだけど。つーかおは朝信者!?ラッキーアイテム男!?ツッコミ追いつかないんだけど!!!』
それからはいろいろな歌を歌ってくれた。が僕に聴かせてくれる歌は、どれもいい歌ばかりだった。何が一番いいかと言うと、心にスッと染み込んでくる歌詞。それを促すような、の優しい声。
昼休みが終わる5分前まで、僕達はずっと隣で音楽を聴いていた。