第17章 猫王子と訪問者
赤司side
は弱々しく僕を押し返してくる。足が痛むのか、驚くほどに弱い力で。本当は離したくなかったが、足の事も考えてゆっくりと離れた。
『嫌なの』
「…」
『赤司に頼って、甘えて、現実から逃げてしまう事が嫌なんだよ!そうなったら、あたしはもう自分の事を好きにはなれない!!!』
「…」
『あたしは弱い自分を認めたくない!認めたくないから今まで必死に頑張ってきた!それを…っ!』
「オイさつき!?」
パシン!と乾いた音が響いたと思ったら、桃井がの頬を叩いていた。
「それは違うよ、ちゃん。本当に弱い人っていうのは、現実から逃げて逃げて、戦おうとしない人。本当に強い人って言うのは、誰かを守り支え、同じように誰かに守ってもらえる人のこと。周りを信じるっていうのは、強さが必要なの」
『本当に、強い人…』
「ちゃんは赤司君の優しさに飲み込まれたくないために、虚勢を偽ってるだけ。同じようにちゃんも赤司君を守ってあげればいいんだよ」
『赤司を…あたしが…?』
「赤司君は確かに守られる要素なんてないかもしれないけどね。それでも、ちゃんが出来る事なんてたくさんある。ちゃんはそれを少しずつ返していけばいいんだよ」
『桃ちゃん…』
「だから、今は赤司君に甘えよう?赤司君、ちゃんが心配なんだよ。だから元気になってほしくて、私達に会わせてくれたの」
『…そうだと、思ってた』
「…分かってるのなら話は早い。行くよ、」
『…うん。…ごめんね、赤司』
「気にするな」
が笑った。あの張り付けた笑みではなく、暫くぶりに見たあの、の笑顔。
「礼を言うよ、桃井」
「気にしないで!私もちゃんとお話したかったし」
『行くよー?早く来ないと置いてくぞー。ほら青峰、あたしをおんぶしろ!』
「は!?」
『あたし足痛いっつーの。ほら、早く』
「ざけんな!俺が殺されるっつーの!おい、赤司!」
『赤司はやだ!青峰がいい!高いとこから見たい!』
ほら、いつもの…僕が大好きなだ。