第16章 猫王子と怪我人
「ほら、前に約束した湯豆腐の件もある。もう寒い季節だ、ちょうどいいだろう」
やめろ
「それに、数学の課題も出ていたはずだ。今なら教えてやる」
何を言っているんだ僕は。
「それに…」
『…あははははっ!!!!赤司超必死!!!何それ、おっかしー!!!』
「…は?」
『あー、笑った。うん、いいよ。今日は赤司の部屋に泊まる』
「そうか。………は!?」
『一旦着替えてお風呂に入ってから行くよ。スーパー寄ってる時間は無いからコンビニで豆腐だけ買って帰ろーぜ!』
「ちょっと待て。本気で言ってるのか?」
『はぁ?赤司が誘ったんじゃん。ほら、行くよ』
いや、嬉しいんだが!嬉しいんだが!!!何より僕が誘ったわけだし、今更やっぱ無しというのは通用しない。大人しく僕はの荷物を奪うと、のスピードに合わせて歩き出した。
そして10時過ぎ、がやって来た。上下スウェットだったのは、寝る準備だという事で目を瞑ろう。いや、それでも上下スウェットは…せめてジャージだろう(この時僕はあまり変わらない事に気付いてなかった)
『えー、それでは湯豆腐パーチーを始めたいと思います!!!』
「パーティなのか、これは」
『パーティだよ!いっただきまーす!ほら、よそってやるよ』
相変わらずのアホ発言に溜息をつくも、目の前に置かれた湯豆腐に顔が綻んだ。そう言えば湯豆腐を食べるのっていつぶりだろう。
くだらない話をして、湯豆腐と僕が作った野菜炒めをご飯と一緒に食べた。